ドコモのスマホおかえしプログラムは24ヶ月で端末を返せば1/3の残債が免除される
NTTドコモは2019年6月1日から「スマホおかえしプログラム」の提供を開始することを発表しました。
この「スマホおかえしプログラム」の特徴は,上記の完全分離プランの法改正を受けて,「24ヶ月目(2年)で購入した端末を返せば,ドコモで機種変更などの条件なしに残債1/3が免除になる」というものです。
「スマホおかえしプログラム」の購入から端末返却までのイメージは上記の通りです。
しかし,これはドコモが取り組むことなのでしょうか?
ドコモのスマホおかえしプログラムを「残価設定ローン」との比較から考える
残価設定ローンは得か損か 「絶対得しない車」と「得する車」がある|ベストカーWeb
自動車業界では,この方式は「残価設定ローン」と呼ばれて多くの民間企業が手がけています。もちろん,「スマホおかえしプログラム」では金利はかからないものの,構造としては酷似しています。
問題はこうした販売手法がドコモなど大手携帯電話会社の寡占になりかねないという点です。これまでの携帯電話販売では,ドコモなどの大手携帯電話会社が端末を販売することが「当たり前」とされてきました。
法改正で「完全分離プラン」が実施されても,多くのユーザーの意識はそう簡単に変わるわけではありません。競争原理が働き,端末販売他社が活躍できるようになることがユーザーの利益になると期待していますが,出鼻をくじかれた感があります。
「完全分離プラン」の完全実施にあたっては,大手携帯電話会社は「シンプルな通信プランの提供」が期待されていたはずです。
しかし,その答えが「注が大量にあり読み解くのが大変なプラン」と「率先して端末のローン販売の元締めを狙う」というのは,公共の電波を扱う企業としてどうかと思います。
この「スマホおかえしプログラム」がどれくらい成功するかはわかりませんが,成功したら「市場から中古端末を引き上げる施策」であり,これは総務省の考える「通信と端末販売の分離」による「MVNO(格安SIM会社)の活用」や「中古端末の活用」から逆行するものです。
きわめて有利な立場から,端末の販売という「自由競争」を阻害すべきではないと私は思います。
ドコモのスマホおかえしプログラムは対象機種を限定
しかも,このスマホおかえしプログラムは,対象機種が限られています。2019年6月1日の開始時点では,上記の機種が対象機種となるとのことです。
iPhoneをはじめ,多くの最新機種は対象になっています。しかし,Xperia Ace SO-02L,LG Style2 L-01L,arrows Be3 F-02Lといった安価なミドルスペック機種は対象外にしているあたりにも「ユーザーの選択の自由度」の阻害という問題を感じます。
「月々サポート」では100%近く,「docomo with」では100%以上割り引いていた
そもそも「月々サポート」では,24ヶ月の利用を条件に,端末代金を100%値引きすることは珍しくありませんでした。
上記は「arrows NX F-01K」ですが,総額88,128円に対して月々サポートで3,645円が24ヶ月間値引かれています。99%還元です。
2019年5月31日までの「docomo with」では,1,500円をずっと割り引くとしていますので,機種変更せずに長く持てば,200%還元や300%還元も夢ではありません。
こうした施策をすべて終わらせて,「33.3%還元ですよ!おトクですよ!」と言っているのが,スマホおかえしプログラムなのです。
「端末を返却さえすればOK」は縛りがないという点では評価できる
上記はauの「アップグレードプログラムEX」です。残額支払い不要の条件に,「新しい機種に機種変更すれば」というのがあるのがわかると思います。
本プログラムは、お客さまが36回分割で対象機種をご購入される場合にご加入いただくことができ、ご購入されたスマートフォンをドコモが定める条件に基づきお返しいただくことで、分割支払金の最大12回分のお支払いが不要となります。回線契約の継続や機種変更といった条件はございません。
一方で上記はドコモのスマホおかえしプログラムの条件です。「回線契約の継続や機種変更といった条件はございません」が売りです。たしかにこれは「完全分離プラン」へ一歩進んだといえます。
ドコモが定める返却条件、査定条件を満たす必要があります。査定条件を満たしていない場合に査定条件を満たすには、20,000円(税抜)(ケータイ補償サービスまたはケータイ補償サービス for iPhone&iPadにご加入の場合は2,000円(税抜))の故障時利用料をお支払いいただく必要があります。
一方で上記のような査定条件があり,「ただ返せばいい」とならないのも要注意です。「ケータイ保障サービス」は500円(税抜)/月がかかりますので,24ヶ月使うと12,000円。それに2,000円を加えると,14,000円が必要で,これも結構な金額がかかります。
まとめ
個人的には「スマホおかえしプログラム」を全く評価できないと思っているわけではありません。「24ヶ月は絶対に使う」というユーザーにとっては,定価で買うよりも良いのは間違いないです。
本プログラムは、お客さまが36回分割で対象機種をご購入される場合にご加入いただくことができ、ご購入されたスマートフォンをドコモが定める条件に基づきお返しいただくことで、分割支払金の最大12回分のお支払いが不要となります。回線契約の継続や機種変更といった条件はございません。
端末の状態の問題はさておき,「回線契約の継続や機種変更といった条件はございません」については,これまでの通信と端末販売がベッタリくっついた販売手法に一石を投じるものになっていると思います。
しかし,安易に「携帯電話の分割払い購入」を勧めることは,個人の信用情報を阻害することもあり,住宅ローンに影響することもあり得ます。
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あくまで「借金は借金」というわけですね。端末はApple公式ストアや,その他民間販売店から「一括で」購入すべきなのす。それが普通なのです。
「完全分離プラン」をうたうのであれば,ドコモをはじめとする携帯電話会社各社は端末販売からは撤退し,シンプルでわかりやすく,格安な通信プラン「だけ」を提供することに専念すべきだと思います。
実際,日本以外では「通信と端末販売は別」という国は多々あります。日本の携帯電話はガラパゴスと呼ばれて久しいですが,この機会に本当にユーザーのためになる施策を真剣に検討してほしいと思う次第です。
ドコモの料金を安くしたいという方は,ぜひ2019年5月31日までに「docomo with」を活用してほしいと思います。詳細は下記の記事で。
この、
スマホを返却すれば、実質1/3還元ですよー
というのは、ほんとによく分からないですね。
スマホを2年間使って、下取りに出した方が1/3以上の金額になりそうな気がしますし、月々サポートが無い分、ドコモは得しかしていないように見えます。
すみません、ご質問させてください。
来月XPERIA1に機種変更予定なのですが、現在回線の月々サポートは終わっている状態です。仮に5月末までにwith端末に機種変更したとして、6月中旬の再度機種変更は問題ないのでしょうか?(with機は一括で購入したとして)
こふさま
コメントありがとうございます。ご質問の件、要は「docomo withを維持したまま、スマホおかえしプログラムが維持できるか」ということだと思います。
この点、明確な記述がなく、ドコモの見解も錯綜しているようです。下記の方は「維持できる」とドコモから返答があったとおっしゃってますが…様子見ですかね。
https://twitter.com/mikamiyoh/status/1128968029889388545?s=19
ご回答ありがとうございます。
すみませんがもう一点、これから今月withに機種変更、6月にXPERIA1と購入すると短期間での機種変更になりますが、これについては端末購入サポートや月々サポートのないwithおよび6月からの端末購入のスタイルからすると問題ないという認識でよいのでしょうか?
現在新端末をポイントで一括購入するかも含めて悩んでおります。
こふさま
申し訳ないのですが、問題があるかないかは責任が持てないのでお答えしにくいです。ドコモにお問い合わせください。
機種変更は「端末の買い増し」なので、短期でたくさん買ってくれるのは単に良いお客様ということになるとは思うのですが。
ご回答ありがとうございました。
当方田舎に住んでいるため案件があるかわかりませんが、with化いけたらダメもとでやってみようと思います!
対象機種にiPhoneも含まれてますよ。ドコモホームページをご確認ください。
https://www.nttdocomo.co.jp/campaign_event/okaeshi_program/index.html
ドコモユーザーさま
ご指摘ありがとうございます。別のページ(報道ページ)を見てました。