iOS11から追加されたITP(Intelligent Tracking Prevention)とは?
2017年9月20日にAppleがiPhone7やiPad向けの新しいオペレーティングシステムiOS11をリリースしました。同時にmac用のOSであるmacOS High Sierraも2017年9月26日にリリースされました。
さて,そして話題を呼んでいるのが,iOSとmacOS High Sierraに搭載されている標準ブラウザ「Safari」のセキュリティ機能,ITP(Intelligent Tracking Prevention)です。
Intelligent Tracking Prevention | WebKit
ITP(Intelligent Tracking Prevention)については,上記のWebKitで解説がされていますが,本記事ではポイントサイト利用者向けに,ITPの影響をわかりやすく解説してみたいと思います。
急ぐ方のために結論先取り「ポイントサイト利用者には影響なし」
急ぐ方のために,先に結論だけ書いておきます。
ポイントサイト利用者は,案件をこなす直前にポイントサイトをきちんと経由すれば,ITPの影響はありません(損はしません)
ITP(Intelligent Tracking Prevention)はドメインをまたぐ際に制限をかける
おおざっぱに言うと,ITPとは上記のように「別サイト(ドメイン)に移動する際に,Cookie(クッキー)をブロックする機能」です。Cookieとは,「このサイトから移動してきましたよ」という電子的な証明書のことです。
Cookieが有効に働いているからこそ,ポイントサイトを利用したことが証明できます。そこで案件サイト(クレジットカードやショッピングなど広告主)は,ポイントサイトに広告費を払い,その一部がポイントとして私たちユーザーに還元されます。
ポイントサイトにおける広告費還元の仕組みは,上記の記事で解説しておりますので,よろしければどうぞ。
ただし,ITPは24時間以内のCookieはブロックしない
Intelligent Tracking Prevention | WebKit
ITPの仕組みを理解すると,「ポイントサイトのポイントが付かない!」と心配になってきます。しかし,安心してください。上記の画像の通り,ITPは24時間以内のCookieはブロックしません。
クリックから24時間以内
上記画像の「3rd-party context」というのが他サイト(ドメイン)のことです。クリックから24時間以内の場合は,「Cookies can be used」とありますので,ブロックされません。
クリックから24時間~30日まで
クリックから24時間たつと,「Cookies can’t be used」となります。つまり,ポイントサイトでクリックして発生したCookieは一部の機能(ログイン関連など)を除いてブロックされて使えなくなります。
クリックから30日たつと
クリックから30日たつと,「Cookies purged」ということで,ポイントサイトでクリックして発生したCookieは完全に削除されます。
つまりポイントサイトを毎回経由している場合は問題ない
ここまで読んでいただければわかるように,案件をこなす際に,毎回ポイントサイトに行って,該当のリンクをクリックする(踏む)場合,ITPはほとんど問題になりません。
敢えて言えば,ショッピングサイトなど繰り返しOKの案件に関して,「ポイントサイトを経由するのを忘れていたけど,前のクリックによるCookieが生きていて助かった」ということがなくなるぐらいでしょうか。
ポイントサイト利用者は,案件をこなす直前にポイントサイトをきちんと経由すれば,ITPの影響はありません(損はしません)
じゃあ何が問題なのか?:楽天アフィリエイトとAmazonアソシエイト
ここからは,タイトルの「ポイントサイト利用者向け」という観点から言うと,完全に蛇足にはなりますが,一応書いておきます。
Cookieは,ポイントサイトだけではなく,アフィリエイトをしている人たちにとって非常に重要です。なぜなら,ユーザーがアフィリエイト記事のCookieによって報酬を受け取れるかどうかが決まるからです。広告記事を「意識せずに」踏んだユーザーにとっては,Cookieはどうでもいいことですが…。
さて,楽天アフィリエイトとAmazonアソシエイトを例にとって解説してみましょう。この両者はいずれもCookieによる計測をもとに売上が計算されますが,実はCookieの有効期限に差があります。
- 楽天アフィリエイト:30日間(つまりCookieの最大保持期間)
- Amazonアソシエイト:24時間(ITPによるブロックと同じ期間)
つまり,楽天アフィリエイトはITPによって,Cookieを24時間でブロックされてしまいます。楽天アフィリエイトをメインに稼いでいる人にとっては大打撃となります。
一方で,AmazonアソシエイトはそもそものCookieの有効期限の仕様が24時間なのでほとんど影響がないということになります。
楽天アフィリエイトやAmazonアソシエイトなど,物販系アフィリエイトで稼ぐ方法ほか,ブログで副業については上記の記事にまとめています。よろしければどうぞ。
ASPによるITPへの対応もちらほら
Cookieを利用した広告としては,ポイントサイトの大元である広告代理店(ASP)を利用したアフィリエイトもあります。こちらでの影響も大きく,話題となっているわけです。下記のように,既に対応を発表しているASPもあります。
バリューコマース アフィリエイト、デバイス推定技術を用いたトラッキングを提供開始 | バリューコマース株式会社(ValueCommerce)
iOS11におけるITP(Intelligent Tracking Prevention)はOFFにもできる
ところで,iOS11におけるITP(Intelligent Tracking Prevention)は,初期状態がONになっているため,今回のような大きな問題になっているわけでは,実はITP(Intelligent Tracking Prevention)はOFFにすることも可能です。
まず,「設定」をタップし,ずっと下にスクロールして「Safari」を選択します。
そして,またまた下にスクロールしていって,「サイト越えトラッキングを防ぐ」をOFFにすればいいだけです。あなたのiPhoneがiOS11なら,この項目を見てみるとONになっているはずです。
とはいえ,ポイントサイト利用者にとっては,わざわざ「サイト越えトラッキングを防ぐ」をOFFにしなくても大丈夫だというのは,本記事で説明してきたとおりです。「それでも何か不安」という方は,OFFにしておいてもいいかもしれませんね。
まとめ
Intelligent Tracking Prevention | WebKit
本記事では,iOSとmacOS High Sierraに搭載されている標準ブラウザ「Safari」のセキュリティ機能,ITP(Intelligent Tracking Prevention)について解説してきました。
冒頭にも書いたとおり,
ポイントサイト利用者は,案件をこなす直前にポイントサイトをきちんと経由すれば,ITPの影響はありません(損はしません)
というのが,2017年11月4日時点の結論です。もう少し詳しく言えば,
- ユーザーが「意識して」リンクをクリックするポイントサイトでは問題なし
- ユーザーが「意識せずに」リンクをクリックするアフィリエイトでは,アフィリエイターにとって問題ありの場合も(ユーザーには問題なし)
といったところでしょうか。
ただし,今回の結論はあくまで2017年11月4日時点でのものですので,今後のAppleの動向や,今回は関係ありませんでしたがGoogle(Chrome)でも同様の機能が実装される可能性もありますので,注意をしておく必要があるでしょう。
多くの人が間違えていますが、24時間の猶予があるのは一部で、多くの3rd party cookieは1時間以内に削除されます。
安全な対策は、Safariを使わない、これだけです。